アルメリック サンプラー(Sampler)のインプレ

アルメリック サンプラー(Sampler)のインプレをお届けします。今回インプレするアルメリックのサンプラーはかなり評価の高いボードです。実際に乗り込んでみた感想や気づいた点をインプレしたいと思います。

アルメリック サンプラー(Sampler)について知っておきたいこと

サンプラーはDane Reynolds(デーン・レイノルズ)のシグネチャーモデルです。デーンは元WCT選手で今は世界トップクラスのフリーサーファーとしてサーフシーンの最前線で活躍しているカリスマサーファーです。

 

アルメリックからはNECK BEARD、#4、DFR、Black and Whiteなど数多くのシグネチャーモデルがリリースされています。

 

今回インプレをお届けするサンプラーは、『パワーがない小波でもコンディションが悪い時でもスピードに乗ったサーフィンが可能なボードが欲しい』というデーンの要望を受け開発されたボードとなります。

シェイパーのブリット・メリックはサンプラーをステップダウン用のボードだと言っています。ステップダウンとは波が小さい時に使うボードのことです。

 

逆に波が大きい時に使うボードのことをステップアップボードと呼びます。サンプラーはヒザ~アタマのコンディションで使用することでその性能をフルに発揮するボードになります。

アルメリック Sampler(サンプラー)に実際に乗り込んだ感想とインプレ

今回チョイスしたサンプラーはストックサイズの5’6  18 3/4  2 1/4 (25.3L)

 

私の体重は70~71kg、サーフィン歴20年以上、週3~4回のサーフィン頻度、パドル力は問題なし。波のサイズはヒザサイズの小波からオーバーヘッドまでのサイズで、グッドコンディション、バッドコンディション、オンショア、速い波、厚くてとろい波といったビーチブレイク全般のコンディションで乗り込みました。

アルメリック サンプラーのサイズ表

今回チョイスしたサンプラー

フィンは全てのコンディションでFutures FinのWCTモデルを使用しました。このWCTフィンはレイクが立っている(フィンが寝ていない)アップライトなフィンです。

 

アップライトのフィンはビーチブレイクや小波でパンチを出したい場合にオススメです。スピードに乗ったクイックなターンが可能となります。お手持ちのボードがFCS II仕様の場合は、FCS II Reactor(リアクター)をオススメします。

Futuresフィン WCT

FCS II Reactor(リアクター)

ファーストインプレッション~脇に抱えてみた印象~

脇に抱えたみた印象は、”数値以上のボリューム感を感じる”でした。レールを落としていないので実際の数値以上にボリュームを感じます。フラットデッキではありませんがストリンガー付近の厚みがそのままレールまで保たれている感じです。昨今流行りの短くてワイドでボリュームのあるボードのそれに近い感覚です。

 

正直、この脇に抱えた時に感じた数値以上のボリューム感には『サイズ失敗したかな?もう1サイズ厚みを薄くしても良かったかも?』といった感想を持ちました。まぁ、この感想は実際に乗ってみると良い意味で裏切られるのですが、その話はのちほど。

サンプラー(Sampler)のファーストインプレッション

 

ロッカー形状

全体的に弱めのロッカーデザインです。ノーズロッカーは弱め、センター付近はフラット、テールロッカーも弱めです。

アルメリク サンプラー(Sampler)のロッカー形状ノーズロッカーが弱めなのでテイクオフは速くなります。実際に乗ってみるとテイクオフ&滑り出しの速さに驚きます。センター付近のロッカーがフラットな為、厚いセクションやパワーのないセクションでもスピードをロスせずに繋げていけます。

 

ロッカー形状を見るだけでもサンプラーが乗り易いユーザーフレンドリーなボードだということが分かってもらえると思います。

 

コンケーブ

コンケーブは強めのシングルコンケーブ~弱めのダブルコンケーブ~弱めのVeeとなります。この強めのシングルコンケーブですが、かなり深く施されています。ボードのボトム面を横から見るとボード中央部に向かって大きくえぐれているのが目視出来る程深いシングルコンケーブです。

 

サンプラーの乗り味の特徴である”スピード感”はこのシングルコンケーブが効いているからだと推測されます。通常シングルコンケーブが強いとバンピーなコンディションではコブを拾い易かったりすると言われていますが、サンプラーに限っては問題ありませんでした。

 

シングルコンケーブ

パフォーマンス性能をアップさせるテール形状

サンプラー(Sampler)にはアルメリックのボードでよく採用される”メリックヒップ”と呼ばれる絞りがテール付近に入っています。

 

この絞りですが実際に乗ってみると見た目以上にライディングに影響を及ぼしているのを体感出来ます。特に縦への上げ易さはこの絞りが効いているのかイージーに縦へ上げることが出来ます。

サンプラー(Sampler)のテール形状

 

パドル&テイクオフのインプレ

まずはパドリングですが、サンプラーは非常にパドリングしやすいボードです。胸の下にしっかりとしたボリュームがあるので安定したスムーズなパドリングが出来ます。初級レベルの方や年配の方であればオーバーフロートで乗ることで更にパドルが楽になると思います。

 

次にテイクオフの感想ですが、”かなり速い”です。これはロッカー形状をみれば事前に想像出来ましたが、実際に乗ってみても想像通りの速さでした。サンプラーはノーズエリアにしっかりとボリュームがあるのでテイクオフでのもう一押しが必要な時に、ボードの前方に体重を乗せることで板を落とすことが出来ます。乗れないかな~と思う波でもその一押しで波を取れたりして驚きます。

 

ボードの幅もパフォーマンスボードよりはワイドなので安定したテイクオフが可能です。変な癖もないのでユーザーフレンドリーなボードです。

 

滑り出しも非常にスムースです。音で表現すると『タン・タン・タン・ツー・パァ!!』って感じです。分かりにくいですね(笑)タンがパドル、ツーが滑り出し、パァがスタンドアップです。このツーの部分が滑り出しなんですがかなり余裕のあるツーなんです。このツーの部分が波の崩れる状況を把握したり、取るべきラインを判断する時間的&精神的余裕を与えてくれます。

 

初速も速いですね。初速は速くないけどターン毎にグイグイとスピードを上げてくるタイプのボードではなく、テイクオフ直後からスピードが乗ってくるタイプのボードです。もっと言えば、初速も速いけどターン毎に更に加速していくボードです。

 

これって一般レベルのサーファーにとってはかなりプラスのポイントですよね。スピードを十分引きだせないレベルのサーファーにとって初速の速さはライディングの大きな補助となります。スピードを自ら引きだせるサーファーであれば、初速の速いボードはなおさら美味しいですよね。テイクオフ直後からフルスロットで攻めていけます。

 

ターンのインプレ

ターンですが、レールにボリュームがあるのでレールを入れるとぐぃ~んと反発します。この反発を活かしたアップスをすることで更なるスピードを引きだせます。レールをしっかりと入れられる方や脚力の強いサーファーであればこのボリューミーなレールを活かしたスピーディーでパワフルなライディングが出来ます。

 

ですが、脚力の弱い方や女性の場合はレールを入れ辛いかもしれません。私自身、最近レールの薄いボードに乗っていたので頭~オーバーヘッドのサイズでは多少レールを入れづらく感じました。

 

小波ではこのレールのボリュームが抜群の効力を発揮してくれるのですが、サイズのある波では誤魔化しの効かないサーフィン(レールを使ったサーフィン)が必要になるかもしれません。レールワークを習得したいサーファーにはかなり良い練習になるボードです。

 

リップでのアクションについて

サンプラーに乗る前の印象と乗った後の印象で1番ギャップを感じたのが、”縦への上げ易さ”です。アウトラインや脇に抱えた印象では、『乗り易いだろうけど縦へのアクションは重そうだな~』でした。

 

ですが、その印象は良い意味で裏切られました。サンプラーは抜群に縦へ上げ易いボードです。ここ数年乗ってきたボードの中では1,2を争う程です。

 

ロッカーのあるパフォーマンスボードであれば縦への上げ易さどうこうには左程驚きませんが、サンプラーのアウトラインからは想像出来ない程の上げ易さにはさすがに驚かされました。おそらく、テールをキュッと絞っているメリックヒップがかなり効果を発揮していると思われます。板を上手く上げれないと悩んでいるサーファーにはかなりオススメです。

 

リップでのアクション性ですが、これも抜群にいいです。トップでの切り返しがメチャクチャ速いし軽いです。もう一度言います。トップでの切り返しがメチャクチャ速いし軽いです。これは乗ってもらえると確実に実感出来るポイントです。先程の説明した縦への上げ易さも手伝ってリップアクションのレベルが確実に上がります。

 

さらに特筆すべき点は、リッピングするたびにスピードが乗ってくるという点です。リッピングするほど加速してきます。自らターン毎にスピードを付けることが出来ないレベルであっても技術的な部分をしっかりと補ってくれます。

 

以前、あるプロサーファーが『リッピング後にスピードが乗ってくるかどうかを、良いボードか否かの判断基準にしている』と話していました。サンプラーはその基準を間違いなく満たしているボードだと思います。

 

カットバックやカービングのインプレ

ボトムターンの説明でも触れましたが、サンプラーはレールにボリュームがあります。そのボリュームを活かせれば体重を乗せたカービングが気持ち良く決まります。ただし、カットバックについては脚力の弱い方や女性にはレールを入れ辛いと感じる可能性があります。カットバック前半でレールを入れようとしても弾かれてしまい、思った様にターン出来ないといったこともあるかもしれません。

 

ですが、脚力の強い方やレールの厚いボードに慣れている方であれば何ら問題ありません。むしろ、カットバックしやすいと感じるかもしれません。その理由は縦への上げ易さに関係します。ボードを縦に持って行き易いのでカットバック後半部分でスープに当て込む作業がすごくイージーです。スープに当て込んだ直後から一気にスピードが乗ってくるので次のアクションにパンチを出せます。

 

サンプラーはスピードが速いって本当なの?

これは本当ですね。噂通りです。深いシングルコンケーブが効いているのが体感出来ます。とにかくスピードが出るボードです。

 

アルメリックの公式HPではトライフィン推奨ですが、実際にトライフィンで十分ですね。小波でもクアッドにする必要がないくらいスピードを出せます。すでに説明しましたが、リッピングするたびにスピードが乗ってくるので全体的にスピードに乗ったライディングとなります。

 

ただし、頭~オーバーヘッドのコンディションでは逆にそのスピードを制御する技術が必要になるかもしれません。スピードが出過ぎてレールを入れられない、ターン出来ないなんてことも考えられます。サイズのある波で乗っても最高に面白いボードですが、手持ちにステップアップボードがあるのであればそちらにスイッチしたほうが楽しめるかと思います。

 

アルメリックのモデルでネックベアードというボードがありますが、ネックベアードもスピードがヤバいボードです。サンプラーもスピード性能は似ている部分があります。ネックベアードからの乗り換えであれば同じデーンモデルでもあるサンプラーを強くオススメします。ネックベアードでも満足しているけど、もっとパフォーマンスを上げたい方には抜群にフィットします。

 

このボードの能力を最大限に発揮するための大前提

サンプラー(Sampler)の性能を最大限に引き出すためにはあることをしっかりと認識しておく必要があります。

 

昨今のワイドでボリューミーなボードはスイートスポットが広いのが特徴です。スイートスポットが広ければ適当にスタンスをとっても板は走りますし技も入れられます。サンプラーもスイートスポット自体は広いボードになります。

 

アルメリックの公式ページでは、サンプラーの適応スタンスは”ナチュラル”となっています。ですが、実際に乗ってみると前足を踏み込むサーフィンが必要だと分かります。ナチュラル~フロントフッターの方であれば問題なくフィットしますが、バックフッターの方には合わない可能性があります。

 

バックフッターの方にはサンプラーではなくニューフライヤーをオススメしたいですね。ニューフライヤーにもメリックヒップが施されていますので、縦への上げ易さやポケットでの動きはサンプラーと共通するものがあります。

 

基本的に、デーン・レイノルズのシグネチャーモデルは前足で踏み込むタイプのデザインが多いので、今後アルメリックのボード購入を検討されている方は頭に入れておいたほうが良いでしょう。

 

デーンのボードのココがいい♪

個人的にここがいい♪と感じたのは”フロー&リフト感”です。オーバーフロートという意味ではありません。サンプラーはジャストサイズで乗っても独特のフロー&リフト感を感じます。

 

デーンのサーフィンには独特のフローと強烈なパンチが同居してると思いませんか?デーンのサーフィンが好きな方にはサンプラーの持つフロー&リフト感を味わって欲しいと思います。人によってはボードに乗せられてる感じで好みに合わないかもしれませんが。。。

 

昔からサーフィンをやっている方やペラペラでバキバキなパフォーマンスボードで苦労してサーフィンしていた方ならならフローの大切さについて分かるはずです。このボードはそんなサーファーにも乗って欲しいと思えるボードです。ボードの進化、時代の変化をいい意味で味わえます。『あの頃、こんな板があったらもっと上手くなってたよヽ(`Д´)ノ 』って思うこと間違いなしです。

アルメリック サンプラー(Sampler)のまとめ

数か月乗り込んで感じたことを率直にインプレしてみました。前評判ではかなり高評価だったサンプラーですが、実際に評判通りのボードでした。このボードは確実に乗り手のレベルを上げてくれるポテンシャルを持っています。

 

サーフィンがもっと上手くなりたいと真剣に願うサーファーにはぜひ乗ってもらいたいボードです。自信を持って良いボードだとお薦めできます。癖がなく乗り易いボードなので初級レベルのサーファーにも問題なくフィットします。今まで出来なかったアップスなどのアクションもすんなりと出来るようになるかもしれません。

 

また、万年中級レベルで伸び悩んでいる方にはサンプラーがブレイクスルーのキッカケになるかもしれません。ターンやレールワークの精度とキレがアップしますし、特にリップアクションは確実にレベルアップに繋がると思います。

 

上級レベル以上のサーファーであればパフォーマンスを更にブラッシュアップ可能ですし、コンペでも使用出来ると思います。

 

今回のインプレが少しでも皆様の役に立てば幸いです。また新しい気づきがありましたら情報を随時アップデートしたいと思います。

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アルメリック Sampler(サンプラー)は最強のステップダウンボード