アルメリック スパインテック(SPINE-TEK)のインプレをお届けします。売り文句とかではなくスパインテックは今まで乗ったEPSボードの中では間違いなく1番の性能です。スパインテックのどこが優れているのか、実際に乗り込んで分かったことや感じたことを具体的にインプレしていきます。
まずはスパインテック(SPINE-TEK)の特徴から説明します
スパインテックはアルメリックとShapers Australiaとタッグで生まれた新素材EPSボードになります。EPSとはEPSフォーム+エポキシ樹脂で製作されたサーフボードのことです。スパインテックがどういった作りになっているのか、まずはアルメリックのシェイパーBritt Merrickよる解説動画をご覧ください。
アルメリック スパインテック(SPINE-TEK)の特徴
■ ストリンガーの代わりに新素材のSPINE-TEKが施されている
■ フレックス性を極限まで追求している
■ 従来のティンバーストリンガーより折れにくい
■ しっくり感がある軽さ
■ 生き生きとした反応の良さ
ティンバーストリンガーの代わりに新素材のSPINE-TEKが施されている
スパインテック(SPINE-TEK)には木材を使用したティンバーストリンガーは使われていません。その代りにEPSフォームに溝を掘り、そこに新素材であるSPINE-TEKを埋め込んでいます。この新素材のSPINE-TEKはカーボンではなく、ファイバーグラスとレジンを組み合わせて作られています。
フレックス性を極限まで追求
アルメリックがEPSボードにおいて追及しているのがボードのフレックス性能です。通常EPSボードはPUボード(一般的なポリウレタンのボード)に比べフレックス性能が弱く固い乗り味になると言われています。今回、Shapers Australiaの持つテクノロジーを使用して極限までフレックス性能を追求することに成功しました。
デッキに入ってるスパインとのバランスを取る為に、ボトム面にはカーボンが施されています。センターフィンから開いているカーボンはテールエンドへの力を逃がして”しなり”と”ねじれ”を生み出します。
従来のティンバーストリンガーより折れにくい
フレックス性能を高めるとボードが折れてしまう可能性が高まりますが、SPINE-TEKは耐久性も備えています。従来のストリンガーより折れにくくなっています。
しっくり感がある軽さ
EPSボードは総じてPUボードより軽量になります。SPINE-TEKも軽い仕上がりになっていますが、昔のEPSのスカスカした軽さではなく中が詰まっている感じがします。脇に抱えた時に程よい軽さとしっくり感を感じます。
生き生きとした反応の良さ
SPINE-TEKが生み出すフレックスはダイレクトに乗り味を変えます。乗ってみるとその反応の良さに驚かされます。自分の意思のとおりに動いてくれるマジックボードになる可能性が高いかもしれません。
アルメリック スパインテック(SPINE-TEK)のインプレ
今回インプレに使用したボードはOG Flyer(オージーフライヤー)のスパインテックです。PUボード(一般的なポリウレタンのボード)とSPINE-TEKと素材違いのボードを全く同じディメンションで乗り込みました。OG Flyerのインプレは過去記事をご参照ください。
PUとSPINE-TEKを乗り比べた場合にまず感じたこと
PUとSPINE-TEKを乗り比べた場合にまず感じたことが、SPINE-TEKの『軽量感』です。この軽量感についてはその違いをかなり感じました。SPINE-TEKはプロが使うPUボードのSクロス1層巻(超軽量)と同程度の軽さを感じます。
同サイズのPUとSPINE-TEKを計量してみたところ、PUが3.1Kg、SPINE-TEKが2.7Kgと約400gの差がありました。(*この差はボードのサイズによって変わります)400gの差は脇に持った時も体感出来るし、ライディングでも体感出来る差になります。
SPINE-TEKはPUに限りなく近い乗り味
従来のEPSボードはPUボードに比べフレックス性能が弱く固い乗り味でした。SPINE-TEKもどうせ固い乗り味なんだろうなと思っていましたが、実際に乗ってみると、そのしなりとフレックス性能がPUボードと比較しても何ら遜色がないことに驚かされました。
また、従来のEPSで感じた小刻みに弾く様なバイブレーションは全くなく、PUボードに限りなく近い乗り味です。もはや、PUとEPSの乗り味の違いはほぼなくなったかのように思えます。
レスポンスはPUボードより上
しなりやフレックス、乗り味はPUボードと比較しても何ら遜色はありません。しかし、そのレスポンスは全く違います。SPINE-TEKのほうがレスポンスが格段に上です。OG Flyer自体レスポンスがもの凄く良いボードなんですが、SPINE-TEKになると1つギアが上がるのが分かります。PUボードの良い部分を残しつつ、EPSの良い部分をさらにプラスしているところがSPINE-TEKの優れた部分だと体感することが出来ました。
アルメリックの他のEPS(flexbarやFutureflexやXTRやサーフテック)との比較
アルメリックにはSPINE-TEKの他にもEPS素材のボードがあります。それぞれ良い部分や悪い部分があり、価格も違います。(XTRは厳密にはEPSではありませんが、PUとは違う素材なので比較のため含めます)
個人的にこれらの素材には全て乗ってきましたが、単純に性能や乗り味で順位をつけるならこの様になります。あくまでも性能&乗り味の順位で、丈夫さや軽さの順位ではありません。
SPINE-TEK>XTR>Futureflex>flexbar>サーフテック
私が乗ってきたEPSの中ではSPINE-TEKが断トツで1番です。元々、PUボードのしなりが好きでPUに好んで乗っていましたが、手持ちのボードは全てSPINE-TEKに入れ替え中です。それほどSPINE-TEKに魅了されています。
スパインテックQ&A
スパインテックに関する疑問をQ&A形式で解説していきます。購入検討の際、参考になれば幸いです。
Q:SPINE-TEKの良さは分かったけど弱点はあるの?
A:従来のEPSの特徴である反発性(小刻みなバイブレーション)があまり感じられないので、その反発性が好きな方には弱点と言えるでしょう。
Q:従来のEPS同様、同じサイズのPUボードより浮力が大きくなるの?その場合、サイズ選びの際は1サイズ落としたほうがいいの?
A:EPSの場合、同じサイズ、同じリッター値のPUボードより若干浮力が大きくなるのが一般的です。SPINE-TEKも浮力は若干出ますが1サイズ落とす必要性は感じられませんので、通常のディメンションで良いかと思います。
Q:従来のEPS同様、強いオフシュアの時など板が落ちにくいとかあるの?
A:軽量なので風にあおられやすい思っていたのですが、意外にオフショア時も板が落ちにくいという印象はありませんでした。むしろPUと遜色ないくらい違和感なくテイクオフ可能でした。
Q:謳われているほどフレックス性は高いの?従来のティンバーストリンガーとの違いを体感出来るの?
A:フレックス性は高いというよりフレックスやしなりをPUに近づけた感じです。体に伝わる波動がPUぽい感じです。良い意味でティンバーストリンガーとの違いも感じませんでした。
Q:フットマークは付きづらいの?ぶつけた時はPUより強いの?数年使った場合、PUより持ちそう?
A:基本的にPUよりは強度があります。ですがパッコンボードのような強度はないのでフットマークは付きづらいでしょうが多少は付くと思います。PUより持ちそうかどうかですが、現在感じる限りではPUより長持ちしそうです。
Q:EPSは黄ばみやすいという認識があるんだけど、日焼けは従来のEPSやPUに比べてどうなの?
A:従来のEPSについては日焼けと言うよりは最初から黄ばんでいる場合が多かったですが、現在はその部分においては技術進歩と改善がされ逆に日焼けしにくいボードとしての認識に変わりつつあります。
Q:今さら基本的な質問だけど、スパインテックはバッコンボードではなく、通常のPUボードと同じ様な工程で製作されるという認識で合ってる?
A:はいそうです。使用される素材が違うだけで、製作工程は一般的なサーフボードと同じです。ファクトリーでそれぞれの工程の職人が丁寧に仕上げていきます。
Q;他のブランドのEPSはタイ産とか多いけど、アルメリックのスパインテックはどこ産なの?
A:今のところ、オーストラリア産とUSA産があります。
スパインテック(SPINE-TEK)はこんな人にオススメ!!
■ EPSボードにフレックス性を求めている方
■ PUと変わらないフィーリングで乗りたい方
■ 反応の良いボードを求めている方
■ 軽いボードに乗りたい方
■ 一つ上のレベルを目指している方
■ 数年単位で使用したい方
■ コンペで勝てる小波用ボードを探している方
乗り味や固さが嫌で今までEPSを敬遠していた方もいると思います。インプレでも感想をお伝えしましたが、SPINE-TEKは今までのEPSとは全く違います。PUボードの良い部分を残しつつ、EPSの良い部分をさらにプラスしているところがSPINE-TEKの優れた部分です。逆に言うと、EPSの良い部分を残しつつPUと変わらないフィーリングで乗ることが出来ます。今までEPSが苦手だった方にも是非乗って欲しいですね。
また、近年のコンペシーンにおいて小波の時にEPSボードを使用するサーファーが増えています。例えば、PUでは2回しか当てれないスモールコンディションでも軽量で浮力がありレスポンスも良いEPSなら3回、4回と当てることが出来るといった具合です。当然、ポイントも上がります。まだEPSを持っていないコンペ派のサーファーにも強くオススメします。
以上がアルメリック スパインテック(SPINE-TEK)のインプレになります。スパインテックはまだインプレが少ない状況です。サーファーとして良い物はどんどん薦めていきたいので、今回の記事が参考になれば幸いです。