サーフィンのスタンスでよく耳にする言葉で『バックフッター』『フロントフッター』『ナチュラルフッター』がありますよね。バックフッター向け、フロントフッター向けとフッターをカテゴライズしてサーフボードを販売している大手メーカーもあります。
実際にバックフッターがフロントフッター向けのボードに乗ると走らない、動かないボードになり、『何この板、調子悪い。。。』といった感想になります。同じボードにフロントフッターが乗ると『何この板!!すごく調子がいい♪』という感想になったりします。
しかし、自分がどのフッターなのか判断するのは非常に難しい問題です。はっきりとした定義を持って自分がどのフッターなのかしっかりと説明出来る方は少ないと思います。
そもそも”フッターの違いなどない”という意見もありますし、はっきりとした定義自体もありません。また、バック、フロント、ナチュラルといったフッター以外にもワイドスタンスなのかクローズスタンスなのかといった足幅やスタイルもフッター問題を更に複雑にしています。
今回はこのフッターについて個人的な意見を書いてみたいと思います。
個人的にはフッターの違いはあると思う
個人的にはバックフッター、フロントフッター、ナチュラルフッターといった違いはあると思っています。
しかしながら、違いはあると思っていますが波質やセクションによって荷重の前後は変わるので、はっきりと分類するのもまた違うのかなと思っています。ライディング中ずっと前足荷重なわけではないし、ずっと後足荷重なわけでもないので、あくまでもどちらの傾向が強いのかといった違いです。
自分にどちらの傾向があるのかを知っておくことは無駄ではありません。
基本的にバックフッターでもフロントフッターでもナチャラルフッターでも毎日練習すればサーフィンは上手くなります。波に乗ることがサーフィンの目的とすれば、フッターの違いがあっても同じレベルに辿り着けます。野球のピッチャーにはオーバーハンドやサイドスロー、アンダースローと違う投球フォームがありますよね。体の使い方やスタイルは違っても球を投げるという目的は同じですし、プロという同じ土俵で戦うことも可能です。
CTのトッププロを見るとそのことが分かると思います。フロントフッターの選手もバックフッターの選手もナチュラルフッターの選手もいて、同じCTという世界最高峰のステージで戦っています。なのでフッターの違いはそんなに突き詰めなくても大丈夫です。もちろん、板を選ぶときに自分のフッター(傾向)を知っておくことは重要ですが。
ただ一点だけはっきりと言えることは、『バックフッターだろうが、フロントフッターだろうが、ナチュラルフッターであろうが、サーフボードの後ろに乗ることが出来なければサーフィンは上手くならない』ということです。
ボードの後ろに乗ることが出来なければサーフィンは上手くならない
そうなんです。いわゆる競技用ショートボード(オールラウンドやパフォーマンスボード)でのサーフィンが上手くなるためにはボードの後ろ、デッキパッドの最後尾(テールエンド)に乗ることが必要なんです。
フロントフッターでも例外ではありません。フロントフッターとして必ず名前が挙がるデーンレイノルズですが、ターンする時必ずテールエンドに乗っています。上手いサーファーはフロントフッターであってもしっかりとした後足荷重を行っています。
テールエンドに乗らなくても中級レベルまでなら到達出来ます。しかし、そこから上には行けません。万年中級者止まりになります。上級者の様にバーティカルでアグレッシブなターンを決めたいのであればテールエンドに乗る、テールキックを使う、テールのレールを使うことが必要なのです。
更に掘り下げるのなら、テールエンドに乗った上で更につま先側にしっかりと荷重することが出来ればもっと上手くなります。フロントサイドはもちろん、バックサイドでも同様です。この”後ろ足のつま先側に荷重する”という感覚は分かる人には分かる部分であり、分からない人でも無意識に出来ている上級者もいると思います。
注意して欲しいのすが、上記のテールエンドに乗れというのはテイクオフからそうしろと言っているのではありません。テイクオフから後ろに乗ってしまうと波によってはスピードが出ませんしテールが沈んで加速しません。
ではどうするのかと言うと、『ステップバックする』ことです。
ステップバック出来なければ上のレベルには行けない
テールエンドに乗るためにはステップバックが必要です。1番簡単なのはボトムターンに入る前です。ボトムターンに入る直前のタイミングでステップバックします。一瞬前足荷重になっているので後足を下げるのは意外と簡単です。
しかしながら、1発目のボトムターン時にステップバックしろと言われても波の取り合いやテイクオフにいっぱいいっぱいでなかなか出来ないと思います。その場合は、アップスでスピードを付けて技に入る前にステップバックすればいいと思います。上級レベルに行けない方はここでステップバックしないまま技に入っているのではないでしょうか?
トップで板を返せない、返せても遅れてしまう、トップでこけてしまう、バーティカルに板が上がらない、などといった諸問題はステップバックをしっかりと行うことで壁をブチ破れます。
最後に
CTサーファーのコロヘ・アンディーノがバックサイドのターンについてインタビューで答えています。ステップバックの重要性について参考になるので簡単に翻訳します。
『子供の頃、フォアハンドはミックファニング、バックハンドはタジバロウの様になりたかった。サーフィンの上達にはスタンスの調整が鍵だ。父は毎日”波のポケットでスナップしたいのならステップバックしろ、エアーを狙うならステップフォアードしろ”とアドバイスしてくれた。基本的に私はボードのかなり後ろに乗っている。なぜなら、もし前寄りに乗ってしまうとタイトな半径で捻ることが出来ないからだ。』